青と黄色のあいだ

好きなものを好きなだけ

「生まれた時からアルデンテ」平野紗季子

平日は毎日、成城石井のカレーライスを食べられるくらい、ネギトロと味噌汁の組み合わせで済ませられるくらい、食にこだわりのない私は、食に関するエッセイを読むのがとても好きだ。 平野紗季子さんは、そんな私と正反対の位置にいる人間だと思う。 そんな…

幸福と丁寧と余裕

常日頃から、人間の幸福と丁寧さは、密接な関係にあると思っている。 例えば土曜日の午前中、目覚ましをかけずに眠り、自然に目が覚めた時、私たちは幸福を感じる。 それは時間に追われることなく、丁寧に睡眠を貪ることが出来ているからではないだろうか。 …

「ご本、出しときますね?」若林正恭

本好きが好きな芸人、若林正恭(わかばやし・まさやす)さんの著書「ご本、出しときますね?」を読んだ。ずっと読みたかった本だった。 ご本、出しときますね? 作者: BSジャパン,若林正恭,西加奈子,朝井リョウ,長嶋有,加藤千恵,村田沙耶香,平野啓一郎,山崎ナ…

東京は寂しさを生む街「東京たられば娘」

ドラマ「東京たられば娘」が終わり、やっと見始めた。いま倫子と早坂さんが両想いになったところだ。(まだ最後まで見ていない) この「東京たられば娘」、全てが終わり、視聴者の感想の中で一番多いのはどんな意見なのだろうか。正直ここまで見て、共感しつ…

ララランドはオラオラ。デミアン・チャゼル監督はドS

アカデミー賞にもノミネートされ、6部門を受賞した映画「LA LA LAND(以下:ララランド)」を公開日に観た。そして観た上でララランドに関する、ポジティブとネガティブな感想も多く読んだ。それで結局、ララランドって何が凄いのだろうか。 ごく普通のスト…

植本一子「家族の最後の日」を読んだ

著書「かなわない」から約1年、植本さんが最近出版した「家族最後の日」を読んだ。「かなわない」はその文章量もすごかったため、だいぶ長い時間をかけて読んだ記憶があるが、「家族最後の日」は3日ほどで読み終えた。 「かなわない」から少しの時間が経ち、…

恩田陸「蜜蜂と遠雷」大型重版ということで読んだ中でオススメの作品5選

1992年から作家として活躍している恩田陸が直木賞を受賞した。作家・恩田陸の最高傑作ともいわれるこの受賞作は「蜂蜜と遠雷」。書店に足を運ぶたびに目に止まっていた作品が、まさか直木賞を受賞するとは。本当におめでたいことです。 わたしが生まれる前か…

「生きてるだけで、愛」本谷有希子

いま私が最も好きな作家、本谷有希子。2000年に「劇団、本谷有希子」を創設するなどして、劇作家・演出家としても活動している。 作家としての代表作は、佐藤江梨子主演で映画化もされた「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」があり、そして今年2016年には「異…

"死ぬほど愛する記憶になりたい"

公開されるのを楽しみに待っていた「アズミ・ハルコは行方不明」が12月3日(土)に公開された。 キャストは主演に蒼井優、サブヒロインに高畑充希。監督は「スイートプールサイド」「ワンダフルワールドエンド」「アフロ田中」「私たちのハァハァ」などを手…

ウォーキングデッド シーズン1〜6を振り返る

ウォーキングデッド シーズン6をやっと見終わった。JCOMオンデマンドの配信がシーズン5で止まってから早3か月、TSUTAYAにでも借りに行くしかないかと考えていたら、突然シーズン6の配信が始まった。 24日から各動画配信サービスでリアルタイム配信が始まるら…

永い言い訳、原作と映画ではかなり印象が違った

映画「永い言い訳」を観ました。ずっと公開が待ち遠しかった映画だったので、期待も大きく、胸を膨らませ劇場に入ったわたしは、頭上にはてなマークを浮かべながら、逃げるようにして劇場を出ました。 全編通して、盛り上がりは非常に少ない。特報であらかじ…

悲しむ

鬼塚ちひろの曲が好きである。 深い悲しみに満ちている曲の数々は、中途半端な幸福に甘んじることなく、どこまでも深く、ひんやりとしていて、逆にもう心地良さを感じられる。 誰にも理解してもらう気のない、彼女の悲しみが、どの曲に詰められている。 しか…

ふれる

ひらがなで「ふれる」と書かれていたら、わたしは真っ先に「触れる」という漢字を思い浮かべる。 多くの人がそうだろう。 人に触れる、物に触れる、心に触れる…。わたしたちが触れられるものは、実体があるものとないもの含め、ものすごくたくさんある。 例…

かなわない/植本一子

名前も、姿も見たことのない、職業すら知らない植本一子さんの本を、衝動的にとは言え手に取り、そして読んだことに何か意味を感じずにはいられない。 何かに迷っている時ほど、本に呼ばれる機会が多い。 三月頭、わたしはなんだか寂しくなって、新宿の紀伊…

書く

あらゆるところに文字が溢れていて、見かけるたびに頭の中でその曲線や、直線をなぞっている。一切、崩れていない文字の美しさが好きで、わたしには書けないから憧れて、無意識に何度も何度もなぞってしまう。 仕事柄、というかこの世の仕事のほとんどはパソ…

休む

社会人になってから、休日と平日という言葉に、色がつくようになった。 休日は赤、平日は青だ。なぜこの色なのかは、カレンダーの影響が大きいと思う。 休日と平日という言葉に色を見るようになってから、この配色に違和感も覚えた。 休日は働く人にとって、…

出す

単純に「出す」と聞くと、自然と自分が得るのではなく、誰かに提供する、ということが思い浮かぶ。 誰かに何かを提供する、相手に何かを差し出す、与える。それらは一見、差し出す側は何も得られず、損をしているような感覚に襲われる。 例えば愛情だってそ…

食べる

「17歳のカルテ」という映画を観たことがあるだろうか。心に障害を抱えた少女たちの物語である。 その中で印象的な話を一つ。 デイジーは人前で食事をする姿を一切見せなかった。かと言って食事をしていないわけではない。デイジーの体は人並みにふっくらと…

眠る

昨日読んだ若松さんの『生きていくうえで、かけがえのないこと』の25のテーマに、私も挑戦。 これが最後の文章になるかもしれない、と思いながら書けば、なにか変わるのだろうか。 ==================== 「眠る」と聞くと一年前のこの時期を思い出す。なにか…

生きていくうえで、かけがえのないこと(若松英輔)

生きていくうえで、かけがえのないこと 作者: 若松英輔 出版社/メーカー: 亜紀書房 発売日: 2016/08/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 人から勧められて、若松英輔さんの『生きていくうえで、かけがえのないこと』を読みました。 生きていく…

コンビニ人間-「異常者」ではくくれない

芥川賞受賞作、「コンビニ人間」を読みました。 あらすじはだいぶ前に聞いていて、こんな話かなと自分の中で予想をつけていたのですが、予想からだいぶ、自分の中で嫌な方向に外れていた。 書評を読むと「異常者」とか「発達障害」とか、マイナスイメージの…

花のベッドでひるねして

吉本ばななさんの本は、わたしの中で「いつでも読める本」としてカテゴライズされているので、そういった意味では、「読もう」という意思がしっかりないと、読む機会が全くない本ではある。 吉本ばななさんと、わたしとの関係性を振り返ると、話は五年前くら…

縞模様のパジャマの少年

先日、「縞模様のパジャマの少年」を観ました。 映画が好きな人たちに結構前からおすすめされていて、でも映画の内容をちらっと聞いただけでもしんどそうだったから、ずっと見て見ぬふりをしていた映画。 縞模様のパジャマの少年 最初からこの親父が好かない…

食欲より読書欲が勝つ、たぶん

『火花』は読んでいないけれど、エッセイである『夜を乗り越える』を読んだ。 夜を乗り越える [ 又吉直樹 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 文庫・新書 > 新書 > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 885円 今日も明日も、わたしたちは本を読んで生きていく。…

悲しみの葬式

かたくて白い衿や、場にそぐわず変な光沢を持つ黒いネクタイ、そして鼻を近付けると防虫剤の匂いがするスーツに、頬を伝って顎のあたりで悲しみの分だけ大きく育った涙が落ちて染みこむのを見た時、目の奥でぎりぎりとどまっていたわたしの涙が視界までぐわ…

ふたつめのボールのようなことば。

糸井重里さんの『ふたつめのボールのようなことば。』を読みました。 ふたつめのボールのようなことば。 (ほぼ日文庫) 作者: 糸井重里,松本大洋 出版社/メーカー: 東京糸井重里事務所 発売日: 2015/08/24 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る …

抱きしめるって魔法!

映画『きみはいい子』予告編 - YouTube タイトルに引き寄せられて観てきました、『きみはいい子』。 原作の短篇集の中から「サンタさんの来ない家」「べっぴんさん」「こんにちは、さようなら」の三篇に焦点を当て、それぞれの話を行き来しながら映画は進ん…

2015年上半期読んだ本まとめ

2015年、上半期が終わる! 年始に今年も素敵な本にたくさん出会えますようにと願ったのだけれど、世の中、素敵な本が溢れすぎてて、困る……。 ▽1月少女は卒業しない/朝井リョウ満願/米澤穂信季節の記憶/保坂和志銀河鉄道の夜/宮沢賢治水やりはいつも深夜…

自分自身のためだけに書かれた本『絶歌』

読み始めてすぐに違和感を感じました。 それは、実際にあった事件を記したものというより、まるで作られた一つの物語のようだからです。 手記というのにあまりにも淡々としていて、小説的な表現も多く、元少年Aが自分の文章の技量を見せびらかしているだけの…

それがあいつの人生なのだろう

あなたの本当の人生は 作者: 大島真寿美 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/10/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る 何度も何度も繰り返される。「あなたの本当の人生は」という言葉。それはこの物語に登場する宇城という森和木ホ…

良い機会だから真面目に考えてみる

本日、六月六日公開の映画『予告犯』を見てみました。ネタバレ一切せずに感じたこと、考えたことを綴ります。 現実世界で楽に生きることの出来ない人にとっての楽園SNS。匿名のため何を言っても許される雰囲気があり、SNSはかなり自由な空気に満ちている。 …

終わったよおじさん

どこの町にも必ず変なおじさん、おばさんがいるのだと思う。それもバランスのひとつだから。 それで、わたしの住んでいる町には淫語おじさんと終わったよおじさんがいる。 淫語おじさんはすれ違う女の人に淫語を囁く。体に触るとか危害を加えられるわけでは…

本当の地獄にいるのはだれか?

窪美澄さんの『さよなら、ニルヴァーナ』を読んでさっそく感想を。 さよなら、ニルヴァーナ 作者: 窪美澄 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/05/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (6件) を見る 作品紹介には「少年A」に人生を変えられた人々…

ウェブという破壊的テクノロジー

勝間和代さんの『読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか』を読みました。 いま、本の立ち位置は難しい。ウェブが発達したことにより無料コンテンツが増え、手間をかけずに知りたい情報を得られるようになり、本という有料コンテンツに…