青と黄色のあいだ

好きなものを好きなだけ

終わったよおじさん

どこの町にも必ず変なおじさん、おばさんがいるのだと思う。それもバランスのひとつだから。

それで、わたしの住んでいる町には淫語おじさんと終わったよおじさんがいる。

淫語おじさんはすれ違う女の人に淫語を囁く。体に触るとか危害を加えられるわけではないのだけれど、この淫語を囁く、という行為はその日一日を暗いものにする。

そして終わったよおじさん、わたしはこの終わったよおじさんと久々にすれ違った。

終わったよおじさんは自転車に乗っている。そしてすれ違った人(老若男女関係なく)に「終わったよ」と言う。

一体なにが「終わった」のか。「終わったよ」と言われた人はその後数時間、おじさんが終わらせた何かについて考えてしまう(わたしだけかもしれない)。

後方から来たおじさんに「終わったよ」とわたしが言われた後、おじさんの前方から黒人の方が歩いてきた。どうするおじさん。言うのかおじさん。

見守るわたしの期待に応えるように、おじさんは「終わったよ」と言った。どうする。黒人の方、どうする。

すると黒人の方はにこっと笑い、「グッバイ!」と言った。おお、グッバイ……。それを聞いたおじさん、黒人の方を振り返り、「グッバイ!」と返した。不思議にも成立するやりとり。わたしは密かに感動した。

日本人なら無視するところを、黒人の方は挨拶だと受け取ったのだろう、「グッバイ!」と答えた。そしておじさんも「グッバイ!」と言った。

なんだ……。終わったよおじさん、ちゃんと会話出来るんじゃん。