青と黄色のあいだ

好きなものを好きなだけ

自分自身のためだけに書かれた本『絶歌』

読み始めてすぐに違和感を感じました。

それは、実際にあった事件を記したものというより、まるで作られた一つの物語のようだからです。

手記というのにあまりにも淡々としていて、小説的な表現も多く、元少年Aが自分の文章の技量を見せびらかしているだけのようにも感じられました。

正直言って、呆れた、の一言に尽きます。

この文章を書いた元少年Aも、この文章を見て世に出さなければいけないと感じた出版社にも、そして読んでしまった自分自身にも。

とにかく長ったらしく、全く心のこもっていない反省文という印象。こんな文章で誰が納得し、許そうと思うのか。あまりの幼稚さに呆れるほかありません。

本人が言うとおり元少年Aの心は十四歳のまま、一切の成長がみられない。そして思考力がついたとはいえ、その思考力を他人に対してではなく、自分に対してのみしか使用出来ていない。

元少年Aが元少年Aのためだけに書いた本、それが『絶歌』。

犯人の心理が知りたくて買うか迷っている人が多いだろうと思うので言っておきますが、『絶歌』はそういった類のことを意識して隠した文章が書かれているので、読んでもその欲は決して満たされません。これだけの文字が所狭しと並んでいるのにもかかわらず『絶歌』はまるで空洞だからです。読んで得られるものなど、なにひとつないのです。