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青と黄色のあいだ

好きなものを好きなだけ

"死ぬほど愛する記憶になりたい"

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公開されるのを楽しみに待っていた「アズミ・ハルコは行方不明」が12月3日(土)に公開された。

キャストは主演に蒼井優、サブヒロインに高畑充希。監督は「スイートプールサイド」「ワンダフルワールドエンド」「アフロ田中」「私たちのハァハァ」などを手掛けてきた松居大悟だ。

キャストには期待していたけれど、監督には不安を抱いていた。その予感は見事的中したと思う。

7/29(金)公開『アズミ・ハルコは行方不明』予告編

突如、街中に拡散されたグラフィティ・アートは「MISSING」と書かれた安曇春子の顔だった。アラサーで独身・恋人もいない安曇春子は、実家で両親と認知症の祖母と暮らしている。家では祖母の世話をする母の悲痛な怒号がとび、会社では社長と専務の心ないセクハラ三昧。そんな中、同級生だった蘇我と再会し男女の中になるが、2人の中はなかなかうまくいかず。そして蘇我がかつて春子の親友だった新婚のひとみと不倫していることを知り、春子は行方不明になる…。そんな春子の失踪がきっかけとなり交差する2つのいたずらが辿り着く先は?10代、20代、30代の日本に生きる女性たちに捧げる女性讃歌ともなる一作。

主演の蒼井優は、日常を生きる平凡な女性を演じるのがとてもうまい。かつて見た「

百万円と苦虫女」も、夢も目的も特にない女が百万円貯めるごとに新たな街に移っていく、という話だっが、全てがごく自然だった。

その彼女の自然な演技が、本作でも遺憾なく発揮されていたと思う。

そんな蒼井優に反して、サブヒロインである高畑充希の演技には、今まで演じてきた役からは(特にとと姉ちゃん)想像できないくらい"頭も尻も軽い女"だっただけに、力が入っていた。アラサーである春子と、成人式を迎えたばかりの愛菜(あいな)のエネルギッシュさをちゃんと示したかったのかもしれない。

アラサーの春子、成人したての愛菜ときて、10代の枠では「少女ギャング団」と呼ばれる女子高生集団が、大人や男に復讐する女たちとして描かれる。が、彼女たちはほとんど出てこない。素性も明かされないし、少女ギャング団になった理由も映画の中では知ることはできない。ただ男に何らかの恨みを持つ集団、として街の脅威となっている。

映画全体を通して、女性と男性の関係性が描かれるのだけれど、それぞれの年代によってリアルな関係性がしっかりと描かれているところは、男性は気付かないかもしれないけれど、女性のほとんどが共感するところだろう。

一言、「青春」と語るには物足りないほど、女性の悔しさ、怒り、幸せ、人生、たくさんの要素が詰まっている映画だった。

映画を観る上で、10代、20代、30代の女性たちの物語は、別物として観るのをオススメする。全てが繋がっていると思って観ると、頭が混乱してしまうので。

 

そして今回、主題歌はチャットモンチーが書き下ろした「消えない星」が使われている。


チャットモンチー 『消えない星』

これが上映が始まる前の劇場でずーっと流れていたのだけれど、本当に良い曲なのだ。この曲だけで、この映画の良さも分かるくらい。映画終わりに繰り返し聴いていると、上映中は理解しきれなかった映画の内容が、歌詞とメロディーによって整理されていく感じがした。

わたしを愛する時間をあげたい
わたしより1秒長生きして
死ぬほど愛する記憶になりたい
あの世もこの世も同じように
強がりのわたしと 空の上で

この部分が映画とリンクしているように私には思えた。お気に入り。