青と黄色のあいだ

好きなものを好きなだけ

東京は寂しさを生む街「東京たられば娘」

ドラマ「東京たられば娘」が終わり、やっと見始めた。いま倫子と早坂さんが両想いになったところだ。(まだ最後まで見ていない)

この「東京たられば娘」、全てが終わり、視聴者の感想の中で一番多いのはどんな意見なのだろうか。正直ここまで見て、共感しつつも彼女たちには何度もイラついてきた。この点ではKEYと非常に気が合う。

そもそも、という話をすると、本当にそもそも私自身、いつも塊になっている女子が苦手なのである。なぜなら、イコール一人でいることができない女、イコール寂しさをごまかしていると思えてきてしまうから。ちゃんと寂しさと向き合えとすごく思う。

そしてこの寂しさについてだが、SNSで有名のDJあおいさんは、

「寂しい、と言う人は暇なのだ」

と言っていた。その通りだと思う。

「東京たられば娘」の三人は終始、寂しさを感じている。これだけの人工過密都市で「寂しい」とは何事かと思うが、生まれも育ちも東京にいる私からすると、「東京には何でもあるが何もない」ということは確かである。つまり、東京とは寂しさを生む街なのだ。それは寂しいと毎日嘆きたくもなる。

倫子はかろうじて仕事も頑張ろうとしているし、まともに恋もしようとしていると思うし、(自分から勝負しようとしなかったり、一晩だけの男女の関係があろうとも)良く言えば東京っぽくない。しかし、香と小雪はどうだろうか。

香は過去に「売れなくてお金もないから」と付き合っていた男に別れを告げたものの、再開して芸能界で成功していてコロッと考えを変えて、うまく元の鞘におさまることだけを狙っている。そんなこと、絶対にありえないはずなのに。

「何度も、もう会わない」と決意するけれど、毎回すんなりと元彼の優しい抱擁を拒否できないのは、彼が好きだからではなく、可能性を捨てきれないから。そして東京の寂しさがそうさせる。つまり、香は気は強いが、心はか弱い。

次に小雪は不倫をしている。はっきり言って相手の男・丸井は典型的なクズであり、田中圭はクズの男を演じるのが心底うまい! これは褒めてます。

なぜなら独身のように見せかけて雰囲気を作り、手を出してから結婚していることを明かす。その上で「小雪さんに会えないなんて耐えられない(子犬のような瞳をうるうるさせながら)」なんて言葉を吐く。さらに子供もいて、もうすぐで下の子も生まれる状況であることも隠し、バレたら「だって小雪さんと会えなくなるから…(うるうる)」と開き直る。ここまで徹底しているのは本当にすごい。

でも、親が離婚していて、父親と一緒にお店を切り盛りしているしっかり者の小雪が、こうしたダメ男を好きになってしまって、ずるずると関係を引きずってしまうのも、なんとなく理解できる。将来、一緒になれる可能性がほとんどゼロに近い状態だとしても。そして小雪をこうした心理にさせてしまうのも、東京という場所がひとつの要因であると言えるだろう。地方がどうなのかわからないけれど、東京でそうした男女の関係で悩んでいる人は山ほどいるからね。

この二人の恋愛模様や心の揺らぎ方は、悪い意味で東京っぽい。

「なんでもあるけど、なんにもない」東京で寂しさが生まれ、倫子、香、小雪だけでなく、東京に住む女性のほとんどが、その寂しさに飲まれ視界を悪くし、今にも踏み外して落ちてしまいそうだった穴にすんなりと落ちる。それはもうほとんど呪いに近い。

そしてその穴は、今という時だけを見つめれば本当に居心地の良い穴なのだ。だからKEYのように、地上にいて穴の中を見下ろしてツバを吐いてくる男なんて、悪にしか見えない。でもそうとしか見えないうちは、まだまだ穴の中にいる東京たられば娘たちの視界は悪いままなのだろう。

耳に痛い言葉を投げかけてくるKEYが悪ではなく、穴の中から地上へ自分を引っ張り出してくれる光の道筋に見えてくれば、東京の寂しさの呪いから解かれるまで、あと一歩。東京たられば娘たち、寂しさに飲まれることなく、きちんと向き合う強さを持って生きよう。